Dr.Abekoの免疫学講座+α - にほんブログ村

Dr. Abekoの免疫学講座+α

アメリカでT細胞の研究してる皮膚科医の免疫学講座

Resident memory T cell(1)

初回から勉強の内容ですみません。

 

免疫学を専攻してない方は下のリンクへどうぞ~。

一般的なつぶやきをしてます。

免疫学のマニアの方はそのまま最後までお読みください。

 

Dr. Abeko の

note : https://note.com/abeko198505

Twitter : https://twitter.com/beko198505

 

Resident Memory T cells

って知ってますか?

医師でも知らない人がまだ多い分野なので、

知ってる人いたら、専攻してる人かな?

 

Resident = 住んでいる

memory = 記憶

T cells はT細胞。

 

10年くらい前に発見された、T細胞のサブセットで、

皮膚、消化管、肺、生殖器に常駐するT細胞。

もうすでに、敵が来るのを待っている状態のT細胞ね。

f:id:Dr-Abeko:20200601044947j:plain

じーって見張っているT細胞

 

 

 

f:id:Dr-Abeko:20200601045110j:plain

皮膚科医なら知ってるかな。くっきりはっきりした皮疹が特徴の炎症性疾患

 

10年前に、

菌状息肉症の原因は 『Resident memory T cell の悪性化』

ということが発見されました。

 

(僕にとってはすごいセンセーショナルで、

現在その発見した先生と仕事してます。)

 

皮膚に常駐するT細胞の悪性化や、異常な活性化によって、

 

菌状息肉症(皮膚のT細胞リンパ腫)

 

や、

 

乾癬 (皮膚の角化性炎症性疾患)

 

が生じるんですね。

 

もちろん、乾癬は炎症性疾患であり

少し多角的な原因でもあります。

Th17細胞とか。

 

 

ちなみに僕の専門は皮膚T細胞リンパ腫です。

 

 

 

 

特に乾癬が『生物学的製剤』という注射製剤で

疾患が消えたように見えても

なぜか、治療をやめると『再燃』する。

 

つまり、治っていない。。。????

→再燃ということは、、、

→『細胞が覚えている??』

→『memory T cell』の関与?

 

そんな考えから、

現在、Resident memory T cellが乾癬に関与していて、

そのT細胞を一度やっつけないと

疾患が長く続いてしまう。

 

 

しかし、一方で、

皮膚や、消化管などで、長く生き続けることも特徴的な

Resident memory T cellの役割は

「ワクチン」による特異的な抗原に対する免疫にも必要である。

 

Resident memory T cell が

『死に至る重病を起こす病原体』

を覚えていてくれるから

僕らは安全に暮らせるのだね。

 

異常なResident memory Tcell だけを

治療によってやっつけられたら、

きっと、

慢性疾患は減るだろうね。

 

 

f:id:Dr-Abeko:20200601045547j:plain

これが基本。 左が菌状息肉症とResiden memory T cell

 

 

CD69 は 皮膚のResident memory T cell のキーマーカーです。

 

また、CD69陽性のmemory T cell はresident memory T cellですが、

Resident memory T cellの大半はCD69陽性ではないです。(わかるかな?)

 

しかし、CD103は、陰性のことも多く、キーマーカーではないです。

 

初回はこれまで

 

文字で、スライドを説明するって難しいね。

もう少し、分かりやすく説明できるようにしておきます。

 

今後の方針

 

あまり医療的なことを沢山書くと、

ブログ上では

僕が『医師であることの証明』もできないので、

責任がとれませんので、

治療法などは載せません。

 

『研究』で論文化されていることを

分かりやすく日本語でお伝えしようと思います。

 

主に免疫、生物学に興味のある方や、

医学部生、研修医、若手の皮膚科の先生に、

届いてくれることを祈っています。

 

ちなみに、

この画像の内容は学生や後輩向けに作った教育用スライドです。

この個人的に作ったスライドがもったいないので、

はじめたブログなので、

よかったら、一緒に勉強しましょう。

 

Abeko.