【原発性皮膚T細胞リンパ腫の免疫染色】がわからないよ!ミコフン?未分化大細胞…なに?
皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症や他の疾患)の病理免疫染色のはじめの一歩を知りたい
『病理部に皮膚のリンパ腫疑いの人の組織を提出した。
診断は皮膚T細胞リンパ腫。カンファレンス前に自分でも説明できるようにしなきゃいけないけど、、、、プレパラートの数、多くない!?』
僕の医局時代、皮膚科医になったばかりの先生から質問で多かったのは、
まずなんのプレパラートから見ればいいのか分からない。
ということでした。
10年以上皮膚科医をやり、
現在皮膚T細胞リンパ腫を専門として
アメリカで研究しています。
まず皮膚科の若手の先生は
アルゴリズム通りに
プレパラートを見ていきましょう。
この記事を読むと
1年目の新人皮膚科医がこの記事を見ると、
皮膚T細胞リンパ腫の病理免疫染色の
プレパラートを見ることが怖くなくなる。
この記事は皮膚科医初心者向けです。
※この記事は5分で読み終わることができます。
――――――――――――――――――――
ステップ0:まず大前提、HE染色をしっかり観察すること
・皮膚の方に向かっている細胞が多いのか,表皮に入り込んでいるか(表皮向性)
・皮膚との間にすきまがあるのか(the grenz zone)
・濾胞形成しているか
・各細胞の大小不同か、核の切れ込み などなど。
ひとことにリンパ腫といっても色々な特徴があります。
この講義では割愛しますが、
HE染色の組織の特徴をしっかりと覚えましょう。
HE染色でのコツは
どの『皮膚T細胞リンパ腫の細胞が表皮内に入り込む』かで
グループ分けをすると、鑑別しやすくなりますね。
――――――――――――――――――
最初にCD3とCD20 をみましょう
CD20陽性の場合はB細胞系!
じゃあ
CD3陽性の場合は…T細胞……は 絶対にダメ!!!!
もう一度言います。
CD3=T細胞 は 絶対ダメ
理由:NK細胞も「免疫染色上」CD3陽性であるから。
病理のプレパラートは
細胞内のタンパクも染色されます。
NK細胞は『細胞内』に
CD3を持っているので、
フローサイトメトリー
(細胞膜の染色)で陰性でも
免疫染色では
NK細胞はCD3陽性となります。
―――――――――――――――――
T細胞リンパ腫をCD4とCD8の2つに分けようとしないこと
なぜなら、3つに分けられるからだ。
『CD4陽性細胞があるのT細胞リンパ腫』は、
『CD4陽性T細胞リンパ腫』なのでしょうか?
答えは違います。
なぜなら、
CD30陽性T細胞リンパ腫の可能性もあるからです。
①と②はどちらもCD4陽性、CD30 陽性です。
①CD4陽性の皮膚T細胞リンパ腫の代表といえば
菌状息肉症ですが、予後不良因子としてCD30 陽性の場合があります。
(Large cell transformation)
②原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症のうち、
ALCL(Anaplastic large cell lymphoma)もCD4陽性です。
よって、安易に、
CD4陽性細胞をもつT細胞リンパ腫=CD4陽性T細胞リンパ腫と決めつけるのは良くないです。
まずは、CD4,CD8 ,CD30で分類しましょう。
-------------------------
CD30陽性リンパ増殖症かどうかを見極めろ!
なぜならCD30陽性細胞が75%以上の場合、
原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖症であるからだ。
そしたら、基本的には2つの疾患を考える。
- 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pc anaplastic large cell lymphoma)
- リンパ腫様丘疹症(lymphomatoid papulosis: LyP)
T細胞リンパ腫の場合
CD30陽性細胞の数が75%以上かチェックしてから
CD4陽性T細胞リンパ腫かどうか考えるべきである。
まとめ
①CD3 と CD20 を見る
②CD3陽性なら T細胞か NK細胞
③T細胞系なら CD30陽性細胞が75%以上かチェック
今日のところはここまで。
もし必要があったら、更新するので、
その時はコメントなどでコンタクトください!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後まで読んでいただきありがとうございます。
あまりにニッチな内容なので、
本当に必要のある人に届くことを願ってます。
よろしければTwitterのフォロー宜しくお願いします。