サルでもわかる免疫学講座 ~T細胞の基本のき~その1
サルでもわかる免疫学講座 ~T細胞の基本のき~その1
T細胞の勉強でつまずいている人へ
『免疫の授業でT細胞を習ったんだけど、沢山情報があり過ぎて覚えられない。頭が整理できない。いったいT細胞の勉強では何が大事なポイントなのか教えてほしい。』
こういった疑問に答えます。
一般向けよりは医学生、看護学生、またはT細胞を学びなおしたい人向けになっています。
本講義の内容
『T細胞の分化 CD4とCD8』について覚えるべきポイントがわかる
免疫学を大学で勉強している時は、T細胞に全く興味がなかったです。なぜなら、暗記が不得意だったので、覚えることが多い免疫学はきらいでした。T細胞の魅力にはまってからは、『無理に覚える』のではなく、『流れをみれる』ようになると自然と覚えられるようになりました。
不必要なポイントは後で学べばいいです。
まずは覚えるポイントがあるので、そこから勉強しましょう。
※この講義は5分くらいで読み終わります。
深堀りした内容は関連講座を掲載しておきます。
1.T細胞のCD3とCD4とCD8ってなに?
1-1.T細胞は全てCD3陽性細胞である
(CDについては別の講義で話します)
CD4とCD8よりもまずは先に、覚えなくてはいけないことは、
T細胞は全てCD3陽性細胞である、ということです。
聞いたことがない人もいるかもしれないです。
なぜなら、
T細胞が必ず持っているものなので、わざわざ説明しないのです。
でも、絶対に覚えておいてください。
全てのT細胞はCD3陽性細胞です。
理由は簡単です。
CD3はT細胞受容体 (T cell receptor : TCR) にくっついているからです。
T細胞は必ずT細胞受容体 (T cell receptor: TCR) を所有しています。
TCRは抗原、例えば細菌の情報を受信するためのアンテナです。(また別の機会にTCRについてお話します)
つまりT細胞は
必ずTCRを持っている=必然的にCD3も持っている、
ということになります。
(→研究や臨床で、この細胞は何だろう?T細胞かな?と思ったら、まずCD3を染色しましょう。)
1-2.T細胞を2種類に分けることができる~CD4とCD8~
T細胞をたった2種類に分けることができる。
それはCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞です。
このあと免疫学を勉強すると、Th1、Th2、Treg、キラーT細胞などや、さらに最近ではTh17、Th9、TfhなどT細胞の種類はとても豊富です。
それで頭がごちゃごちゃになってしまうことがあるのですが、必ず覚えててほしいことは、
胸腺から出た
全ての正常なT細胞は、
CD4陽性T細胞か、
CD8陽性T細胞のどちらである。
このことを忘れてはいけない。
その理由は、
胸腺でT細胞が成熟する仕組みにある。
①まずはじめに未熟なT細胞は
CD4-CD8-(Double Negative: DN) である。
②次にCD4+CD8+(Double Positive: DP) となる。
③最後にCD4-CD8+か、
CD4+CD8-(Single Positive: SP)となる(←ここ重要)
T細胞は必ずこのセレクションという作業を
受けてから、からだに運ばれて行きます。
よって未熟なT細胞(DNやDP)が
胸腺から出ようとしたら、
すぐに壊されてしまうんです。
もう一度、大切なのでおさらいしますね。
・全てのT細胞はCD3を所有している
・全てのT細胞はCD4もしくはCD8を所有している
1-3.T細胞はさらに進化する
CD4陽性T細胞はヘルパーT細胞(Th)か制御性T細胞(Treg)へ、
CD8陽性T細胞はキラーT細胞へ分化する。
CD4かCD8のジョブチェンジが終わったあと、
色んなものを装備をします。
装備した内容によって、
CD4はヘルパーT細胞(Th1, 2, 17, Tfh)や
制御性T細胞(Treg)になります。
CD8はキラーT細胞になります。
■まとめ
・全てのT細胞はCD3陽性
・全てのT細胞はCD4陽性もしくはCD8陽性
・CD4陽性→ヘルパーか制御性T細胞へ
・CD8陽性→キラーT細胞へ
■感想
免疫の基本をブログにしてみましたが、
T細胞から話をはじめてみました。
免疫全体の本は
このブログよりももっと面白い本があります。
皮膚科でT細胞を苦手とする若手の先生が
多かったので、T細胞に特化した話を
今後していきたいと思います。
T細胞の学びなおしをしたい方や
皮膚科専門医試験(皮膚リンパ腫など)も
網羅していきたいです。
応援宜しくお願いします。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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