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Dr. Abekoの免疫学講座+α

アメリカでT細胞の研究してる皮膚科医の免疫学講座

制御性 T 細胞(Regulatory T cells)(1)

■日本人の発見!

日本人がこのTreg(regulatory T cell)を発見したんですよね。京都大学医学部卒で、現在大阪大学特任教授の坂口志文先生。

 

案外、免疫部門で日本人は活躍してますね~。

 

・免疫グロブリンの遺伝子再構築も確か日本人だったような。。。(→利根川進先生:ノーベル賞)

・あと腫瘍免疫ではPD-1だね。(→本庶佑先生:ノーベル賞)

 

調べてみたら、基本ノーベル賞だったわ。

これからの日本は大丈夫かな?

がんばろう!

 

■Regulatory T cells

って、ことで、制御性T細胞。

 

あまりに活発に免疫が働きすぎると、からだは不調になる。

例えば自己免疫疾患や炎症性疾患、アレルギー疾患などを引き起こす。

 

免疫をつかさどるT細胞だけど、

反対に免疫を抑制するT細胞。

それが『Treg』(ティーレグ):Regulatory T cell

抑制性T細胞です。

 

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まずは、最初に覚えないといけないのが、

 

  • CD4

  • Foxp3

 

  

特にFoxp3は『Tregのマスター抑制因子』と言われており、Tregには欠かせない因子です。これを持っていなければTregとは言えません。

(一方で後述するんですが、Foxp3の発現量が弱い場合もあります。なので、弱陽性だなってときもTregの場合があるので注意です。)

 

■次に

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はじめはこれだけ覚えよう!

 3つ追加で、5つに増えたように見えますが、

IL-2はCD25に付いてるだけです。


紛らわしいので注意してください。

増えたのは

 

 

  • CD25(+IL-2)

  • CTLA-4

 

 

この2つはTregに発現していますが、他のT細胞にも発現しています。
特異的ではないですが、多く発現しています。

 



■CTLA‐4 

 CTLA-4はメラノーマの治療薬として使用されていて、聞いたことがある人もいるかな?抗PD-1抗体みたいに『免疫チェックポイント阻害薬』の1つで、抗CTLA-4抗体(Ipilimumab)が現在、癌治療で使用されている。

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T細胞の活性化を抑えるCTLA-4

 

CTLA-4は『樹状細胞などの抗原提示細胞』の活動を抑制する。

また活性化したT細胞はCTLA-4の発現によって、活性化が落ち着いてしまう。

しかし、Tregの活動性は落ちないと言われており、

樹状細胞の活動性を抑えてしまう。

 

→結果、CTLA-4は炎症を抑制する作用がある。

 

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ここ注意。TregはCTLA-4を発現するけど、Tregの活動は抑えられるわけではない

 

■sIL-2R

リンパ腫の活動性を調べる時に採血で『sIL-2R』を調べると思うけど、

あれは、『CD25=IL-2R』なので、

CD25がリンパ球から一部遊離して血管内に入ったもの、なんだよね。

 

CD25はIL-2と仲が良く、

高親和性。

 

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IL-2とCD25の関係はリガンドとレセプターの関係

で、IL-2は炎症を引き起こすサイトカインなので、

免疫過剰になっている場所には多くIL-2が存在している。

しかし、

 

そこにTregが大量にやってきて、

TregにくっついてるCD25が

IL-2をごそっと掃除してしまう。

 

こうやって、Tregは炎症を抑えることができる。

 

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5つ覚えられた?IL-2はよそ者だけど。

 

■まとめ

  • CD4+Foxp3+ → Treg

  • CTLA‐4は抗原提示細胞の活動を抑える

  • CD25がIL-2を掃除してくれる

 

次回はTregのさらに詳しい説明です。